2023年09月01日
漁業と風力発電の協調のために、洋上風力発電に漁礁を併設する例がオランダと中国で出てきています。
まだ試行段階ですが、うまくいけば広く普及するかもしれません。
【オランダの事例】:モノパイル基礎に岩で漁礁を形成
New artificial reefs bring new life to Hollandse Kust Zuid、2023/9/1、Evwind
https://www.evwind.es/2023/09/01/new-artificial-reefs-bring-new-life-to-hollandse-kust-zuid/93805
・試験場所はオランダの北海沖18㎞のHollandse Kust Zuid風力発電所(建設中。SG11.0-200DD×139基=1529MW、モノパイル基礎、水深18~28m)。
・1年前から9ケの人工漁礁を設置。ROVによるビデオ観察を実施。
・観測者コメント「人工サンゴ礁が設置されてから1年余りの間に何が起こるか正確にはわかりませんでしたが、うれしい驚きでした。たとえば、モノパイルにはすでにムール貝の巨大な層ができていました。そして眼下の岩礁にはすでに大きなイソギンチャクやヒトデが生息しており、魚もたくさん見られました。」
【中国の事例1】:ジャケット基礎内に網で5000m3の養殖用スペース(15万匹相当)を形成。
・2023年4月に建造開始、7月に設置完了。来日したMingyang社員によると「養殖した魚は社員食堂でおいしく頂いた」そうです。
明陽智能が「洋上風力+養殖漁業」ジャケット基礎の建造開始、2023/4/19、crane1000
・場所は、中国の広東省陽江市から55km沖合の南シナ海、水深41m~46mの明陽陽江青州4洋上風力発電プロジェクト。
・Mingyang製 MySE11-230×25基+MySE12-242×18基=500MW、ジャケット式。建設中で2023年末に運転開始の予定。
Mingyang Building Fish Farm-Equipped Offshore Wind Jacket Foundation、2023/4/17、OffshorewindBiz(模式図あり)
Mingyang’s First 12 MW Wind Turbine Up Offshore China, Fish-Farming Jacket Ready for Installation、2023/7/11、OffshorewindBiz(基礎製造中の写真あり)
【中国の事例2】:セミサブ式浮体内に網で養殖用スペースを形成。
「浮体式洋上風力+養殖漁業」、重量4,900トンの浮体進水、2023/9/15、crane1000
https://crane1000.com/floating-offshore-wind-and-aquaculture-4900-ton-floating-foundation-launched/
・中央部に正六角形の形状をした養殖エリア(ネットゲージで約10,000m3)を持つセミサブ式浮体が進水。
大きさは1辺約70mの三角形×高さ24m(設計喫水14m)で総重量4,900トン、4MWの風車を搭載。
福建省南日島にある国立海洋牧場実証エリアの水深約35mの海域に設置される予定。
開発・建造は国家能源集団に属する龍源電力集団(China Longyuan Power Group)が実施。