洋上風力発電主力電源化の着実な実現
2025/11/10
- JWPAからのお知らせ
2025年8月27日、第1ラウンドの3海域(秋田県2海域および千葉県銚子沖)において、事業者が開発中止を決定したことが公表された。
政府は迅速に対応し、9月4日および8日に、秋田および千葉で法定協議会を開催、続いて9月11日には、洋上風力促進ワーキンググループ 洋上風力促進小委員会 合同会議(以下、「合同会議」という)を開催し、年内をめどに公募制度の見直しを含む更なる事業環境整備についての整理を行うとともに、第1ラウンドの3海域の再公募を早期に進める方針を示された。こうした取り組みは、地域の声を反映し洋上風力発電の導入を引き続き着実に推進していく政府の前向きな姿勢をいち早く示したものとして、当協会としてもたいへん心強く受け止めている。
一方で、第1ラウンドの価格重視の入札は、インフレ、円安等の外部環境の激変もあり、結果として事業撤退を招くこととなり、市場の停滞を招きかねないことを明らかにした。港湾区域である秋田港・能代港と石狩湾新港は既に運転を開始したものの、国内の洋上風力発電市場は依然として黎明期にあることを再認識すべきと思料する。
この状況に鑑み、当協会は、第2ラウンド、第3ラウンドにおいて既に選定された事業者が電源投資を確実に完遂できるよう、また、今後の公募においても国内外の投資を呼び込むための制度の予見性、透明性、安定性が確保されるよう、政府に対しては次の点を要望している。
- 洋上風力発電に係る電源投資を確実に完遂させるための更なる事業環境整備の加速
当協会からも合同会議において提案した海域占用期間の延長について、占用許可の更新が原則認められるよう公募占用指針が改訂される運びとなり、たいへんありがたく考えている。併せて提案している長期脱炭素電源オークション等容量市場への参加の容認やオフテイカー確保への支援、国主導による港湾等インフラ設備の開発や合理化についても、第2ラウンド、第3ラウンドの案件に適用されるよう、更なる検討を進めていただきたい。 - 今後の公募スケジュールの早期見える化
第1ラウンド再公募の影響により、第4ラウンド公募も含め、今後の公募・入札スケジュールが不透明となっており、事業者の体制整備や意思決定が困難な状況である。とりわけ再公募は想定外の事態であり、応札準備にはコンソーシアム組成や資料作成など相応の時間を要するため、早期に公募・入札スケジュールを明示いただきたい。 - 公募制度の見直し
欧州の先行事例も参照しつつ、事業の実現性に重きをおいて事業者の実行能力の事前評価を適切に行い、事業者が電源投資を完遂できる価格レベルを設定すること等、地域との協調と併せて的確に評価する仕組みが必要と考える。
また、産業界としても、政府が8月8日に公表した「洋上風力産業ビジョン(第2次)」に基づき、以下の取り組みを推進していく。
- 2040年までに国内調達比率65%以上を達成
- 着床式洋上風力発電コスト目標の早々の見直し
- 2040年目標を実現するためのサプライチェーンの強化と人材の確保・育成
- 上記を実現するためのコストダウンに向けた不断の努力
厳しい状況下にあるが、洋上風力発電は我が国のエネルギー安全保障、脱炭素化、貿易収支改善、そして国内及び地域経済の発展や雇用創出に貢献できるポテンシャルを有する電源である。
当協会は、政府・地域・学術界と産業界が一体となって取り組むことにより、洋上風力発電の主力電源化の着実な実現を果たす所存である。